顧客管理の月額を、5年払っていない。スプレッドシート1枚から、AIで自作するまで
整体院の顧客管理は、スプレッドシート1枚で始めて、必要になったらAIで自作すればいい。私はこの順番で開業から5年、顧客管理の月額は0円です。月1万円のシステムを5年契約すると総額60万円なので、その分が手元に残った計算になります。
ただし、偉そうに言える立場ではありません。開業2年目に集客と管理の仕組みへ約80万円を払い、3割しか回収できなかった人間です。この記事は、その授業料込みで「何を、どの順番でやったか」を書いたものです。
開業時に月額システムを見比べて、やめた理由
治療院向けの顧客管理システムは、月に数千円から1万円ほどです。予約と連動し、カルテが付き、機能は立派です。開業前の私も資料を見比べました。
やめた理由は1つで、開業したばかりの店には管理するほどの顧客がいないからです。顧客30人の店に100人分の機能は要りません。開業したての店を守るのは設備でもシステムでもなく、手元のお金です。当時の月1万円は、広告費1か月分でした。
スプレッドシート1枚の作り方(そのまま真似できます)
列はこれだけです。
- 名前・生年月日・住所・連絡先(基本情報の4列)
- 来店日1・売上1・来店日2・売上2……と、来店のたびに右へ2列ずつ足す
- 最後に「合計」と「メモ」
合計の列を見れば、その方が通算でいくら通ってくださったかが分かります。いまで言う顧客生涯価値(LTV)が、開業当時から一目で見えていました。ひとり営業の顧客数で、この1枚の検索に負けた場面は一度もありません。
この時期に得た一番のものは、お金ではなく「自分の店に本当に必要な項目」が分かったことです。最初から多機能なシステムを入れていたら、使わない機能に埋もれて見えなかったと思います。
80万円の授業料。管理画面を広告契約に預けた1年
開業から1年ほどで、集客を強くしたくて大手予約サイトに掲載しました。月6.6万円、1年契約の縛り付き。顧客管理も、付属の管理画面に移しました。
結果は、1年で掲載経由の新規26人。年間の掲載料は約80万円なので、1人あたり約3万円(顧客獲得単価)です。掲載経由で戻った売上は3割ほど。差し引き50万円あまりの赤字を抱えたまま、満了を待って撤退しました。
お金より効いた学びが1つあります。付属の管理画面は「無料掲載でも使える」説明でしたが、一部の機能は有料掲載でないと使えません。顧客管理を広告契約に付いてくる画面に預けると、どの機能を使えるかを先方の料金プランに握られます。店で一番大事な資産が、掲載料の人質になっていました。
撤退して、スプレッドシートに戻りました。「データは借り物の場所に置かない」。いまの方針は、この失敗から来ています。固定費の棚卸しの手順は月6.6万円の集客固定費をやめた話に書きました。
2026年2月、「システムは買うもの」ではなくなった
転機は今年の2月です。Claude Codeという、チャットで頼むとパソコンの上で実際にシステムを作ってくれるAIを触り始めました。私はIT業ではなく、ただの理学療法士です。プログラミングの知識はほとんど使っていません。
最初に作ったのは顧客台帳でした。スプレッドシートの画面を見せて「これをWebの画面にして」と頼んだのが出発点です。初日はそれだけ。そこから「予約とつなげて」「合計を出して」と、少しずつ注文を足しました。いま動いているのは次の形です。
- Web予約が入ると、予約カレンダーと連動して顧客台帳が自動で作られる(電話番号で照合・カルテ番号も自動採番)
- 予約と同時に事前カウンセリングのフォームが自動送信され、回答は台帳のカルテメモに転記される
- 来店の履歴と、お一人ごとの累計金額がひと目で見える(スプレッドシート時代の「合計」列の進化版)
- 売上も同じ画面で管理し、会計ソフトへの転記はAIの仕事。先月は58件の転記が1分で終わった
- 確定メール・前日のリマインド・お知らせの配信も自動。常連の来店間隔がいつもより空くと知らせてくれる
システムの月額は0円のままです。サーバーは無料枠で、支払いはドメイン代くらい。正直に書くと、作る道具であるAIの利用料は別にかかります。店の仕組みを作るだけなら月3,000円ほどのプランから始められます。月額システム1つ分の金額で、借りるのではなく「作る力」が手に入る。私はそう捉えて払っています。自動化の全体像は13本の自動化が回している実録に、時間の実測は事務をAIに任せたら週10時間戻った話にあります。
落とし穴:自作の失敗は、静かに起きる
いいことばかり書くのは公平でないので、実際にやらかした失敗を2つ書きます。
1つ目。予約の確定メールが送られていませんでした。「送る」部分の配線が実はつながっておらず、患者さんは何も言わずに来てくれていたので発覚が遅れました。いまは送信に失敗したら管理画面に通知が出ます。
2つ目。SNSの自動投稿が1か月止まっていました。仕様変更で静かに壊れ、誰にも気づかれずに止まっていた。自動化は「作って終わり」ではなく「壊れたら気づける仕組み」までがセットだと、身をもって学びました。
だから逃げ道も作ってあります。台帳のデータはいつでもスプレッドシートに書き出せる機能を付けました。ダッシュボードが壊れた日は、開業当時の1枚に戻れば営業は止まりません。最初に書いたあの1枚が、いまも最後の砦です。
自作は、この手の失敗と付き合う覚悟が要ります。診療で手一杯の先生が夜中にAIと格闘するのは、現実的でない場合があります。私は誰にでも「自作しましょう」とは言いません。
順番だけ、間違えないでください
- 開業時はスプレッドシート1枚で始める。1〜2年は困りません
- 高い仕組みは、軌道に乗ってから考えても間に合います。私は順番を間違えて80万円で学びました
- 顧客の記録は、契約が切れても機能が変わらない場所に置く。広告や月額の付属ツールは、やめた瞬間に道具ごと消えるか、機能を削られます
- 月額を払っている方は、その費用が「何の作業を消してくれているか」を書き出す。意外と少ないかもしれません
道具の話は、いつでも取り返しがつきます。開業初期の現金は、取り返しがつきません。
よくある質問
スプレッドシートだけで足りますか。
ひとり営業で顧客が数百人までなら足ります。私は1年以上、上の1枚で回しました。
自作の費用はいくらですか。
システムの月額は0円。別にAIの利用料が、店の仕組みを作るだけなら月3,000円ほどからです。
予約サイトの管理画面に顧客データを置いてはいけませんか。
置けますが、使える機能を先方の料金プランに握られます。全件をファイルに書き出せるかを、契約前に確かめてください。
読むより触ったほうが早いので、実物を置いています
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